トップメッセージ

株主・投資家の皆さまへの
ご挨拶

代表取締役 
社長執行役員 CEO
樋口 龍

株主の皆さまへ

平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

おかげさまで、第11期も無事に終了いたしました。これもひとえに、株主の皆さまの多大なるご支援のおかげと、深く感謝申し上げます。

第11期(2023年10月期)を振り返って

当社におきまして第11期はGAグループの創業10年目の節目の年であり、売上1,466億円、売上総利益226億円、事業利益21億円と過去最高の業績となり、従業員1,090名、M&A累積10件を数えるまでになりました。

しかしながら、掲げている高いビジョンに対しては全く届いておりません。そのため、次の10年をさらに大きく成長させていくために、全てを変えていく必要があると感じ、あらゆることを抜本的に見直した1年でもありました。まずは、コーポレートブランドを刷新しました。コーポレードブランドの見直しは今回で4回目になりますが、過去も時々の企業変化のタイミングで見直しを行ってきました。そして、創業10年目を迎え、企業を大きく変革しなければならないこのタイミングで、改めてOur Ambitionを見つめ、リブランディングを実施しました。さらに、経営ビジョン、行動指針、経営戦略、事業ビジョン、事業戦略、組織戦略、人事戦略、グループ経営管理、ガバナンスと本当にありとあらゆることを見直し、改革をしました。一般的に会社の従業員の規模が3倍になると今までのやり方に限界がきてしまうといわれています。今振り返ってみると、GAグループにおいても300名の体制でうまくいっていたことの延長で900名を迎えた結果、700、800名あたりから経営が後手に回ってしまうことが増えていきました。その原因は3倍になった時の準備を事前にできていなかったためです。挑戦すれば失敗がつきものですが、挑戦しなければ失敗もありません。この10年間、大きく成長するために挑戦してきたことに問題があったとは思っていません。なぜならば、失敗を次に生かすことが成長への通過点だからです。しかし、失敗を生かさないことは経営として失格です。そのため、同じ轍を踏まないためにもこの1年間は、GAグループが今後、現在の3倍に成長した時でも耐えうる組織改革を行いました。そして、今後、従業員が3,000名になった時には1万人に耐えうる組織改革を行い、持続的に成長するため事前にしっかり手を打っていくつもりです。

第11期においての取り組み

第11期において、具体的に取り組んだ施策は以下になります。

①10ヵ年経営計画の策定
②人事制度の見直し
③採用ルール、昇格、昇進ルールの見直し
④決裁権限の見直し
⑤会議体の見直し
⑥事業部制/マトリクス組織の導入
⑦権限委譲/抜擢
⑧ポートフォリオ経営の実施
⑨財務戦略の策定、実行
⑩OKRの導入、KPI管理の見直し

上記を含めて、その他にも様々な改革を行ってきましたが、全てはGAグループのOur Ambition達成のためです。次の10年である創業20年を迎える時にどれだけ成長できているかが、Our Ambition達成に非常に重要だと思っています。人の成長も同じだと思いますが、時が経てば経つほど変われなくなる。変化ができなくなる。会社も創業から20年でグローバルな土俵で戦える状態になっていないとそこから大きく成長していくことは至難の業になると思っています。なぜならば、会社が20年経つと組織文化もある程度確立されている状態になり、そこからチャレンジをして更に大きく成長していこうとは思わなくなってしまうためです。創業者として、私自身も創業20年前後で兆円レベルにできなければ退任すべきだと思っています。私はこの覚悟を持ちこの1年、失敗を糧に全力を持って経営改革に努めてきました。創業20年で必ずグローバルカンパニーにする。私はこの覚悟を持ちこの1年、失敗を糧に全力を持って経営改革に努めてきました。

第12期(2024年10月期)に向けて

『ネット不動産』によるマーケットシェア拡大:
我々は創業から一貫して不動産の領域にイノベーションを起こすために取り組んできました。今までの「株主の皆さまへの手紙」でも不動産業界の課題やその課題を解決し、我々が変えたい未来をご説明してまいりました。昨年の手紙の中でも10年後の未来の話をしており「グローバル展開も含めて、複雑な不動産売買の取引が、シームレスにワンクリックで出来るようになっていること」と述べております。この我々が目指す世界観を一言でいえば『ネット不動産』です。2022年は5月18日に宅地建物取引業法の改正があり『ネット不動産』元年でした。不動産を簡単に、借りたり、貸したり、買ったり、売ったりすることが出来る、正に『ネット不動産』の世界に近づく大きな改正でした。不動産の世界はデジタル完結のサービスではないので、SNSやデジタル完結のサービスのようなスピードを持って顧客が新しいサービスに乗り換えてくれるのかという点には一定のハードルがあります。なぜならば、これだけテクノロジーが進化し、生成AI、Web3.0、NFTの時代になってきたにも関わらず、不動産業界は未だに20年前のやり方が通用してしまっているからです。情報の非対称性やリアルタイムで把握できない物件情報、対面接客や紙の手続きなどアナログな対応が現在でも多く行われています。そのような中でも我々が粘り強くオンライン化に取り組んできたことにより、RENOSYマーケットプレイスではマーケット規模約1.5兆円(※1)のSAM(※2)に対して、シェア約1割までになりました。また、ITANDIにおいても賃貸申込年間約320万件(※3)に対して、ITANDIシステム経由の入居申込数は97万件となり約3割のマーケットシェアを獲得するまでに成長することができました。

顧客は、同じものであれば、簡単、便利なほうを選択します。顧客に向き合い続け、顧客に向き合い続けるための強い組織をつくる。そして、高い志で、大きく挑戦し、時には大胆な変化も厭わない。これらの思考があれば圧倒的なマーケットリーダーとなり、なくてはならないサービス、インフラになれると確信しています。そのために、マーケットシェアをRENOSYマーケットプレイスは30%、ITANDIは50%に早期にしていきたいと考えております。その実現のために必要なこととしては、やはりテクノロジーに対する強化が挙げられます。デジタル完結のビジネスであれば、自前でテクノロジー組織を構築していくプロセスは当たり前かもしれませんが、デジタル完結できない「ネット×リアル」の領域では、開発やマーケティング組織を自社で抱えず外注し、それらをコストと考える会社も存在します。しかし、我々は自前にこだわり、自社でマーケティング組織、開発組織、データサイエンス組織、AI組織の体制を構築してきました。下方修正時には株主様や投資家様からコストの見直しを含めて提言がありましたが、テクノロジーに対する投資に関しては一切削減をいたしませんでした。我々の強みはリアル領域にテクノロジーを入れて「ネット×リアル」でイノベーションを起こしていくことだからです。スピード感を持ってマーケットリーダーになるためには、第12期の一丁目一番地の戦略として、テクノロジーに今まで以上に投資していきたいと考えています。

勝つための投資バランス:
これから先は「一年後に勝つための投資」「三年後の勝つための投資」「十年後に勝つための投資」を踏まえたバランスの良い経営をしていきます。そのために重要なのは既存事業と新規事業とのバランス、国内事業と海外事業とのバランスです。まずは、一年後、既存事業、国内への投資が第一優先です。盤石な事業があるからこそ、新規や将来への投資をしっかりと行うことができるためです。7、8割は目の前の国内、既存事業の改善に使い、三年後、十年後、新規、海外においては、大きな影響がない範囲の投資に限定していく方針です。

また、現在と未来とのバランスをうまく取るには人財育成、採用、配置も重要だと思っています。強い人財がいないと現在と未来にバランスよく投資することもできません。強い人財を採用できるように人事制度を見直し、ミッションに合わせて報酬を設定できるミッショングレード制の導入やメンバー育成も強化しています。そして、いかに若手を抜擢し、若手に高い目標を与え、若手の未来に賭けるかを最も重視しています。その若手が、経験値があるメンバーと融合し、良いシナジーを出していけるのかが既存事業を成長させ、新規事業を作っていけるポイントだと考えています。

チームビルディング:
会社はチームです。いかに能力が高い個人を揃えてもチームで戦わなければ大きな成果は生まれません。それは、歴史が証明しています。そのためにはまず現場の執行責任を持つ、執行役員同士のチームビルディングの強化です。具体的にはコミュニケーション量を増やして、信頼関係を構築する。互いの強み、弱みを理解する。弱みを見せられる組織は強いと考えていますので、執行役員同士のチームビルディングをみせることで、メンバー同士のチームビルディングも強化され、会社全体が一つのチームとして強くなると思っています。また、11期の後半から本格的に事業部制を導入しています。営業、企画、マーケティング、PdM、エンジニア、デザイナー、データサイエンティスト、AIと多岐に渡る職種のメンバーが一枚岩になる。我々は「ネット×リアル」の会社なので、何も手を打たないでいると知らずのうちにネットとリアルが分断してしまいます。そのために事業部制にすることにより「ネット×リアル」のチームビルディングを強化しています。今まではネット側の責任者が、リアル側のメンバーのことを自分の部下と考えず、どこか遠慮するような風潮がありました。「ネット×リアル」の垣根をなくすために、まずはリーダー達の思考を変えていく必要があると思っています。

テクノロジーの強化:
今後はテクノロジーへの強化を最重要視します。先ほど第12期はテクノロジーの強化が一丁目一番地とお話しましたが、一にも二にもテクノロジーが重要だと思っています。「ネット×リアル」を推進していく上では、この2年間はリアル側強化の優先度をあげていました。しかし、今後はネット側をより強化していかなければならないと考えています。なぜならば、生成AI、Web3.0、NFT、5G含めたテクノロジーの進化はもはや止められないからです。具体的には、ブランディング、採用強化、開発プロセスの見直し、現場理解の向上、キャリアプランの構築、組織文化の見直し、意識改革を促していくことで、人員を拡大させ、組織力の底上げを図っていきます。一般的に「ネット×リアル」の両方を推進している企業は、性格面の違いから、リアル側メンバーの意見が強くなりがちです。しかし、互いの意見をぶつけ合える組織を目指し、責任者がしっかりとマネジメントを行い、双方がリスペクトし、事業部制にしたメリットを活かせれば、本当の「ネット×リアル」が完成すると思います。加えて、技術者が働きやすい環境も構築します。技術者が働きやすい環境とは、「フルリモート」や「休暇が多い」というような表面的な部分ではなく(もちろんそういったことも大切ですが)、発明を賞賛する文化、スピーディーに意思決定できるフロー、権限委譲、イノベーションを起こせる環境、変化を受け入れる組織構築の方が重要だと考えます。

5ヵ年経営ビジョン/経営戦略

この度、5ヵ年経営ビジョン/経営戦略を策定しました。以下が5ヵ年のグループ全体の経営ビジョン、経営戦略になります。

5ヵ年経営ビジョン:
「リアル×テクノロジーの力で感動を生む顧客体験を追求し、産業を変革する。」

経営戦略:
①市場環境:市場シェアNo.1を取る/取れる場所で戦う
②人財:リアル×テクノロジーに優れたプロフェッショナル集団になる
③財務目標:在庫を持たないビジネスを目指す
ただし、優れた顧客体験とスケールのために必要であれば売上の10%以内なら在庫を抱えても良い
④ビジネスモデル:テックでスケールさせる
⑤PL目標:粗利額の最大化と収益性の向上
⑥M&A:非連続的な成長を目指す
⑦領域:自社の強みを活かせる領域

各会社、事業ごとにも事業戦略はありますが、今回、グループ全体での経営戦略を策定しました。グループ会社も増え、金融、M&A仲介と不動産以外の多岐に渡る領域に参入しており、グループ会社間でベクトルを合わせ、グループシナジーを最大限活かすため、グループ全体での経営戦略が必要だったためです。実はもともとこの経営計画は10ヵ年の目標として、半年ほどかけて、かなり詳細まで作り込みをしました。それがどうして5ヵ年の経営計画になったのか。10ヵ年の目標が固まりつつある段階で、私が「これを5年でやろう!」と突拍子もないことを責任者クラスに伝えたからです。そもそも10ヵ年の目標でもかなり高い目標だったため、それを5ヵ年にしたいといった時は、最初は全員驚愕しました(笑)。しかしここからが、我々グループの強さであり、驚いていたのは最初だけで、「後はやるしかない!」となりました。どんなに高い難易度でもチャレンジする姿勢を持った「本当に素晴らしいメンバーが集まったな」と心から誇りに思いました。それでは、なぜ10ヵ年を5ヵ年にしたのか。それは、我々が目指す姿Our Ambitionはまだまだ高い頂にあり、「テクノロジー×イノベーションで人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」という非常に高いビジョンを一刻も早く実現しなければならないからにほかなりません。

最後に

高い志を持ち、GAグループ一丸となり、必ずビジョンを達成したいと思っております。
第12期である2024年10月期も変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。

代表取締役 社長執行役員 CEO

樋口 龍

2023年12月

(※1)投資用中古コンパクトマンションのマーケット規模。株式会社東京カンテイ「プレスリリース 首都圏 新築・中古マンション市場」(2021年1月)、株式会社東京カンテイ「プレスリリース 新築・中古マンションの市場動向(首都圏)」(2021年5月)、公益財団法人東日本不動産流通機構の登録物件データ、投資用不動産会社上位10社の業績を参考に推計
(※2)Serviceable Available Market
(※3)REAN JAPAN Market Report ~ 第1版_2020_1224の賃貸仲介契約件数228万件より、イタンジ社の申込から契約までのキャンセル率30%元に入居申込数を325万件と算出し、イタンジ社の年間電子入居申込数(2022年11月~2023年10月)から割合を推計

代表取締役 社長執行役員 CEO

樋口 龍 (ひぐち りょう)

1982年東京生まれ。幼い頃より世界的なサッカー選手を目指し、ジェフユナイテッド市原(現J2)に育成選手として所属。24歳の時にサッカー選手としての夢を諦め、ビジネスマンへ転身し不動産会社へ勤務。”巨大なマーケットを形成しながらも極めてアナログな不動産業界にテクノロジーで革命を起こす”と志し、2013年に株式会社GAテクノロジーズを設立し、代表取締役に就任。創業時から中古不動産の流通事業を展開。現在はテクノロジーを活用したエンド・トゥー・エンドの不動産流通プラットフォームの構築を中心に、データドリブンでユーザー利便性の高い不動産取引を目指す。また社内業務においても、AI・RPAによる効率化やデータ活用による業務改善に積極的に取り組む。

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